能登半島地震と豪雨で大きな被害を受けた石川県内で、昨年の元日から開かれていた避難所が今月13日にも閉じられる。最大で約4万人いた避難者がゼロになるが、過去の災害と比べ避難生活は長期に及んだ。現在、仮設住宅や公営住宅に2万人超が暮らしており、被災地は今後、恒久的な住まいの再建に向けたフェーズに移る。
「ほっとした」。輪島市内の仮設住宅に6日、妻とともに入居した干場(ほしば)三蔵さん(91)は、ほおを緩ませる。昨年1月の地震で自宅は全壊。修理して3カ月後に戻ったが、9月の豪雨で近くの道路が崩落し、再び住めなくなり、小学校の体育館で半年以上暮らした。
長男一家も被災し、同じ仮設住宅団地にいる。「家を修理するから一緒に住もう」と言ってくれたが、夫婦2人で暮らしたい気持ちもある。「仮設を出た後の家がわからず、不安でいっぱい」とこぼす。
棚田一三(かずみ)さん(89)夫妻も避難所暮らしを経て、同じ団地に入居。避難所では風呂に入るため、車で10分ほどかけて銭湯に通っていたことを思うと「ありがたい」。ただ、本当は畑のある自宅に早く帰りたいと願う。
隣の知人宅は、取り壊しが必要な状況で、集落はまだ停電している。住まいの再建は「自分だけでなく、近所の人も戻り、また畑仕事ができてこそ」という。
地震による避難者は、最大約4万人にのぼった。県によると、学校の体育館などの1次避難所に身を寄せたのは昨年1月4日の3万4173人(364カ所)をピークに、9月17日には268人(25カ所)まで減少。だが、豪雨発生翌日の22日には、避難者が地震とは別に1453人(108カ所)生じた。地震の避難者は今年4月1日にゼロになり、豪雨の避難者は8日時点で輪島市の15人(4カ所)になった。福祉避難所の1人も13日をめどに避難状態を解消するため、入所先を調整している。
過去の災害で避難所が閉鎖さ…